トレックのマウンテンバイク「マリン」

このマウンテンバイクに8年前に出会っていなかったら、

自転車に乗る喜びを知ることはなかったと思う。

いつまでたっても、わたしにとって、この自転車は特別だ。

 

8年前、車で日本一周を計画していた私は、

旅先での移動手段として、自転車があったら便利だなと思っていた。

小さな自転車より、大きながっつり走れる自転車がほしかった。

 

そんな中、旅先で、トレックのマウンテンバイクに乗っている方と偶然出会った。

29インチのでかいタイヤを履いた自転車は初めて見た。

その自転車がとてもかっこよかった。

すぐにその自転車がほしくなった。

クロスバイクやロードバイクというジャンルがあるのも知らない私は、

マウンテンバイクにしか興味を示さなかった。

マウンテンバイクを開発したのがトレックだとも教えてもらった。

それならばトレックで買うしかないだろうと心に決めた。

 

旅先から、トレックのお店がある大阪に直行した。

お店に入って、2秒ぐらいでこの自転車を買うと決めた。

オフ車といえば「緑」

緑色のフレームとでかいタイヤの組み合わせが抜群にかっこよく見えたのと、

値段が安かったからだ(笑)

トレックのマリンはマウンテンバイクのエントリーモデルで

当時6万円くらいだったと思う。

なんだかんだで7万円くらいしたが、

こんなかっこいいバイクがこんなに安くで手に入るんだとびっくりしたもんだ。

 

20万円はするだろうと握りしめていたお札から、

7万円を差し出し、

早く乗りたいという気持ちを抑えきれずにいた。

 

それからこのマウンテンバイクを車に積み込み

日本中を車で旅した。

マウンテンバイク、こいつの名前は「とれっくん」と呼んでいる。

北海道、東京、九州、四国、

「とれっくん」とはいろんなところを一緒にはしった。

29インチのタイヤを履いたマウンテンバイクが珍しいのか、

街中で「かっこいい自転車ですね。」と声をかけられることもあった。

いろんな思い出でいっぱいだ。

 

去年はじめてパンクするまで一度もパンクもしなかった。

とてつもないタフなやつだ。

 

そんな「とれっくん」だが、

最近走るとキーキー音がする。

チェーンが錆びて鳴っているわけではなさそうだが、

とてつもなく不愉快な音がする。

錆び付いた古いママチャリが奏でるあの音だ。

 

よく見たら、「とれっくん」は錆だらけだった。

急いで洗車したが、汚れがフレームにこびりついていて全く取れない。

「とれっくん」の後に買ったロードバイクは定期的に洗車しているが、

「とれっくん」は購入してから一度も洗車していなかった。

もちろんメンテナンスも全くしていない。

 

本来であれば、

自転車に乗る喜びを教えてくれた

一番大切にしなければならない存在であるはずの「とれっくん」。

 

後から買ったロードバイクを大事そうに洗車している私を

どんな気持ちで見ていたのだろうか?

 

前にお店の人がいっていた。

この自転車(「とれっくん」)は修理するより、

新しく購入した方が経済的ですよと。

 

そーいえば、

日本一周に行った車を去年車検にとおすときも、

似たようなこと言われたな。

車検代25万円もかかりますけど、

本気で車検とおすのですか?と。

私の車は走行距離20万キロを超えていて買い替え時をとうに過ぎているそうだ。

 

車とか、

自転車とか、

愛着が芽生えると私は手放すのが嫌になる。

こまったものだ。

 

車はまだまだ乗りたいし、

とれっくんも、

早く修理して、

もう一度、一緒に旅をしたい。

 

 

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